2021年、4月某日。
コロナで苦しんだ大月のお店を盛り上げようという目的のクラウドファンディング、
『大月スマイルプロジェクト』がスタートした。
大月市商工会、そして大月市観光協会が実施主体となり、
事業協力としてローカルディスタンスがサポートする形で発足されたプロジェクトである。
ワタル少年は、いつもの軽いノリでサポートを請け負ったのだが、
彼はもちろんクラウドファンディング未経験者。
「まぁなんとかなるっしょ!」
彼はいつも軽いのだ。
そのフットワークの軽さが魅力なのだが、
今回に限ってはそのテンションで乗り越えられる話ではなかった。
プロジェクトの内容は、
45日間で300万円の支援を集める目標設定だ。
リターンとなるのは、25%プレミア付きの店舗指定の商品券。
支援者にとってはメリットしかないのだが、いくつか懸念点があった。
それは後述するとして、まずクラウドファンディング成功への絶対法則をご紹介しよう。
クラウドファンディングって何?
まずクラウドファンディングとは、
「群衆(クラウド)」と「資金調達(ファンディング)」を組み合わせた造語になる。
特徴としては、インターネットを介して不特定多数の人達から資金を集めることだ。
そしてもう一つの特徴は、個人のアイデアや熱い想いを持つ人が起案者としてプロジェクトを発足させる事ができ、
その内容や想いに共感した人ならば誰でも支援者として支援ができる点である。
双方にとっての手軽さと斬新さがクラウドファンディングの大きな特徴と言える。
今回の寄付内容のイメージはこちら。
そんな手軽で、誰でも資金調達ができる可能性があり、夢と希望に溢れたサービスであるクラウドファンディング。
しかし目標金額達成の確率や、それに至るまでの労力は、手軽なイメージとは程遠いのだ。
クラウドファンディングの成功法則
そもそもクラウドファンディングのプロジェクト成功の確率は30%前後とも言われている。
しかし成功したプロジェクトや成功者の分析からポイントを踏まえて行われたプロジェクトでの成功率は70〜80%にも上がることがわかっている。
しっかり成功法則に則って進めれば、こんなにも可能性のあるものなのだ。
ではその成功法則とは何か。
欠かせないポイントを絞って見ていこう。
1、自ら発信していく姿勢
クラウドファンディングはインターネット上で不特定多数の人から資金を調達するシステムなのだが、プロジェクトを発足したからといって勝手にアクセスが上がり、勝手に資金が集まるわけではない。
自分がこのプロジェクトを成功させたい強い思いと共に主体的な発信が重要なポイントになってくる。
2、自分の周りの人から周知してもらう
特別に魅力的なリターンや、元々知名度のある人や団体が起案するプロジェクトでない限り、支援とゆうのは「その人への信頼の可視化」である。
極端な例で言うと、いつも約束を守らずに言ったことをやらない人が、
「世のためになるこんな良いものを作りました!必ず成功させたいのでご支援お願いします!」
と言って回ったところで、支援したいと思えるだろうか?
答えは「ノー」だ。
こんなこと言ってるけど、どうせいつもみたいに言ったことをやらずに終わるのではないか、
と思ってしまうのはむしろ自然なことなのではないのだろうか。
もちろん今回のスマイルプロジェクトは大月市も絡んでいる為、
一個人の発足したものとは違うのだが、
それでも支援金集めに対してはまず身近な人からの応援が必要不可欠である事に違いはない。
3、プロジェクトを成功させる上で重要な二つの期間について
クラウドファンディングには資金が集まりやすい2つの期間が存在する。
その時期にポイントを絞って効果的な宣伝活動ができれば成功の確率が上がっていくこととなる。
【プロジェクト公開後の5日間】
公開から5日以内に目標金額の10%の支援が入っていた場合→成功率70%
公開から5日以内に目標金額の20%の支援が入っていた場合→成功率90%
readyforより画像お借りしました。
こういった鉄板の成功法があるのがクラウドファンディングの特徴でもあるのだ。
その為にもまずは身近な人に事前告知をして支援をしてもらうのが重要となってくる。
スタートダッシュである程度のラインまで支援が集まれば、
クラウドファンディングサイト上でも注目のプロジェクトとして紹介される可能性もあるし、
起案者と縁のない人からは「ある程度お金が集まっている=このプロジェクトには何かあるのではないか」という興味付けにもなる。
もう一つの期間は皆さんも予想がつく通り、
【掲載期間の最後の5日間】
俗にいうラストスパートの期間である。
掲載終了5日前までに目標金額の40%の支援が集まっている→成功率70%
掲載終了5日前までに目標金額の50%の支援が集まっている→成功率90%
readyforより画像お借りしました。
これは当初からプロジェクトの成功を願っていた人たちが、
目標達成のために一丸となって応援してくれるからではないだろうか。
ここから競馬のレースを想像して欲しいのだが、
ゴール前の熱狂が半端なく盛り上がるのは、自分が賭けた(支援した)競走馬に絶対勝って欲しいから、喉が潰れるくらい応援するのだ。
それが数人、または団体でお金をかけて馬券を購入していた場合、その場の全員で勝利に向かって熱狂しているのだ。
…とにかく笑
より目標金額に近ければ近いほど、支援者や協力者が奇跡を感じて盛り上げてくれるのは間違いないのではないだろうか。
成功法則から見た今回のスマイルプロジェクト
ではここで、
ワタル少年がメインサポーターとして請け負ったスマイルプロジェクトは上記の法則にしっかり則って進んでいたのか見ていきたいと思う。
まず事前発信について。
筆者である私は大月在住であり、ローカルディスタンスにも参加(プロジェクト発足当初はまだ傍観者に近かった)、大月広報誌、各種SNSなどあらゆる媒体をチェックはしていた。
同時に大月商工会を始め、プロジェクト担当者たちも周りの身近な人への周知は、上記に挙げたようにしてはいた。
このプロジェクトが発足されたことや、内容も確認してはいたが、
「なんとなく知ってる」レベルだった。
そのくらい関心が湧かなかったのだ。
もしかしたら大月に住んでいる多くの人がそのような状態だったのではないだろうか。
それを証明するかのように、公開後5日間のデータがこちらである。
目標金額300万に対しての10%が30万、20%が60万なのでこの状況は決して順調とは言えない。
⅓が過ぎた5月1日の時点でまだ支援総額が50万円台だったので、
このままではマズイと商工会への直接支援代行制度を開始。
インターネットの利用が難しい高齢者の方達からの声を受けての対応だ。
この頃には山梨日日新聞や、読売新聞にも掲載されていて、
段々と周知はされてきていたように思える。
しかし支援が思うように集まらない。
難航が続いていた。
このタイミングで、危機感を感じたローカルディスタンスのメンバーがワタル少年に密着し、両者一丸となって目標達成のために軌道修正をかけていくこととなる。
結果的に目標金額以上の支援を集め、
見事SUCCESSしたこのプロジェクト。
クラウドファンディングの成功法則をまるで無視したスタートを切ったにもかかわらず、
なぜここまでの快進撃を成し遂げることができたのか。
後編ではそのストーリーをご紹介しよう。
後編