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崩壊していたプロジェクト、ワタル少年を救ったものとは。
時は5月の一週目。
1日の大月商工会への直接支援の緊急対応を受けて、ただならぬ事態を感じ取ったメンバーがいた。
今まで傍観者でしかなかったが、ここ最近ローカルディスタンスの活動に積極的になってきた物だった。
彼女はワタル少年に直接電話で状況を聞いた。
現在スマイルプロジェクトが抱えている問題は支援金うんぬんも勿論なのだが、お店の参加率が低すぎることだ。
なぜ15日経ったこのタイミングでまだこういった状況なのだろう。
現状と課題を知った彼女はこのプロジェクトの崩壊を感じずにはいられず愕然とした。
「⅓が終わったこのタイミングで、リリース前に完了させておくべきだった店舗掲載数が少なすぎる。」
「もう手遅れな程まずい状況なのにワタル少年が1人で抱え込んでいる。」
そして一番強く感じたことは、
「既にこのプロジェクトに協力してくれている店舗も、支援してくれている支援者もいるのだから、失敗させるわけにはいかない。
失敗させてはいけない。」
とゆうこと。
希望を託してくれた人の想いに応えなければいけない。
誰か1人でも巻き込んでしまったからには全力でやり抜かなければいけない。
そして一度首を挟んだのなら最後まで責任を持って関わらなければいけない。
そんな重圧と後戻りできない崖っぷちの現状を理解した時、
一気に血の気が引いた。
「もしこれで失敗したら大月市はどうなる…?」
そこからワタル少年のサポートに徹するために、連日やりとりを重ね、
掲載店舗を増やす活動に集中するために人員募集をかける事にした。
明確な目的と、行動ベースの提案。
それをローカルディスタンス全員に共有したところ、驚くべきことが起こった。
起死回生のチーム戦
アナウンスを投げかけた所、スマイルプロジェクト実行班としてなんと10名近くのメンバーが手を上げてくれた。
もはやチームで動いていくしか手段がない、
チームで動いていけば道は開けるかもしれない。
ワタル少年が1人で抱えていたプロジェクトにようやく手が差し伸べられた。
アナウンスをした1日後、すぐに行動が開始された。
リストアップした未掲載店舗へひたすら足を使って回り続ける日々。
もう⅓が過ぎている。
それでもなんとか掲載店舗を増やさなければ。
拙い言葉で必死に伝える。
もうワタル少年らに残された手段は「熱意」しかなかったのだ。
しかし数店舗回ったところで、新たな問題が発生した。
商工会から送られてきているスマイルプロジェクトの資料だけでは、
とても理解がされていない状況だったのだ。
「クラウドファンディング」という言葉を聞いただけで拒否反応が出てしまう場合もあった。
理解できないものを目の前にすると、どうしても前向きになれないのだ。
そこでワタル少年は考えた。
「一目見て伝わるような資料を作ろう!
話を聞いてもらえるような、難しくないという事をわかってもらえるような!」
ローカルディスタンスのクリエイティブ班に相談すると、数時間とかからず完成した。
この人数で瞬間的に目的を達成するためにはどうしたら効果的か、
いかに高齢化が進む地域でクラウドファンディングなどとゆう聞き慣れない取り組みを浸透させていくか、
チームが一丸となって動いていくためには何が必要か、
ワタル少年とチームメンバーは連夜試行錯誤を重ね、
着実に掲載店舗を増やしていった。
問題発生、それでも進む10名の戦士たち
店舗回りをしていると、様々な理由で掲載を懸念する事ももちろんあった。
手一杯でこれ以上新たな取り組みができない、
高齢化が進んでどうしても難しい、
お客さんがこれ以上来ても対応しきれない。
実際に足を運び会話を重ねていくと見えなかった部分がたくさん見えてくる。
もしスマイルプロジェクトが未達に終わっても、
こうやって足を運んだ事は事実として残る。
後悔だけはしたくない。
結果がどうなろうが、僕らの思いは100%伝えたい。
実行班に、もはや立ち止まる選択肢はなかった。
そして掲載店舗周りと同時期に、プロジェクト拡散のお願いをしていくことになった。
今回実動で動けないメンバーも、応援したい気持ちはもってくれていた。
各々のSNSや口コミの力を使って、より多くの人に、より多くの回数の拡散をしてもらったのだ。
一つ一つ、着実に掲載されていく店舗。
一人一人、脳裏の片隅に記憶されていくスマイルプロジェクト。
ワタル少年から派生した小さな波紋が、確実に広がっていっているのを感じた。
最終週に起こった大月ミラクル
5月30日までの期限であるこのプロジェクトも最後の一週間を迎えた。
実行班を結成した5月当初の時点では掲載店舗数20数店舗、支援金はまだ50万円台。
3週間の動きで掲載店舗は46店舗まで増え、
支援金も50%を超えて170万円台まで来ていた。
ここからあと半分だ。
「何度も申し訳ありません!
本日も拡散や声かけをお願いします!
僕たちは諦めていません!
皆さんの力が必要なのです!」
毎日毎日足繁く通った店舗への活動や、
スマイルプロジェクト目標金額達成への熱意が、
実行班の進撃を貫く原動力となっていた。
「必ず達成させる」
信じていたのは数名だったのかもしれない。
それが確信に変わるのは数日とかからなかった。
ーなんと一日で30万円も支援金が増えたのだ。
昨日170万円台だったものが、日が変わったら200万円を超えていた。
この辺りから、周囲がざわつきはじめているのを感じていた。
「どうせ無理だろうけど頑張ってな!」
実行班に向けられたそんな諦めの雰囲気が、
この時点では、
「もしかしたら達成するかもしれない…」
という期待に変わり、
全員が達成を信じ行動してくれるようになった。
そこからの快進撃は誰もが記憶に残る歴史的な出来事となった。
当初興味のなかった人たちが注目しはじめた事、
様子を伺っていた人たちが信じて入れてくれた事、
この盛り上がりを見て自分の大切な人にもお願いをしてくれた事、
大月に関係のない人や家族までもが支援してくれた事、
そして大月のためにずっと前向きに活動していたローカルディスタンスのメンバーの軌跡の全てが、
多くの人々の心を動かしたのだ。
あれよあれよと数字が伸び、半日でカウントダウンが始まるまでになった。
ここから歴史的瞬間まで。。。
準備はいいか。。。
目標達成、そしてネクストステージへ
ーここから葉加瀬太郎氏の「ひまわり」を再生して下さいー
そこからの快進撃は止まるところを知らなかった。
奇跡を信じた人々の波動は、思いもよらぬところまで届き、
200万円台から約1日でここまで。
その後5時間でラスト10万円。
もう止めようとしても止まらない。
そして、、、。
5月26日23時25分
大月市スマイルプロジェクト
目標金額達成。
45日間に渡るワタル少年のスマイルプロジェクト奮闘は、
数え切れない程の支えと協力によって見事成果を果たすことができたのだ。
「とりあえずやってみるっす!」
彼の一言目はいつもそれだ。
後先なんか考えていない。
出来るかどうかもわかっていない。
そんな自分の性格がコンプレックスに思う事もあった。
なんでもやってみたい!
周りの出来事に興味はいつも溢れている!
でもいつも途中で挫折してしまうことが多かった。
それ繰り返すうちに、
何を見ても無関心、諦める癖、挑戦から逃げる日々。
そんな自分が出来上がっていた。
今回だって引き受けたはいいものの、
自分1人じゃどうしたって乗り越えられる気がせずに、
心が折れかけていた。
ワタル少年の強く魅力的なはずのなんでもやってみる精神が壊れかけていた。
「誰かは必ずあなたを見ている」
今回は以前のワタル少年と一つだけ違ったことがあった。
それはローカルディスタンスの仲間がいたことであった。
誰かが苦しい時、
誰かが悩んでいる時、
誰かが立ち上がれなくなった時、
救いあげてくれる仲間がいる。
誰1人だって蹴落とそうとする人間はいない。
助けを求めたならば手を振り払うやつもいない。
ワタル少年が掴んだ希望をこんなにも支えてくれる仲間がいたのだ。
この経験は必ず自身の糧となるだろう。
そして人口減少、少子高齢化、夢を見る事もできないような街の空気がただよう大
月市。
その街の澱んだ空気を一瞬でかき消すほどのエネルギーが、
今回のスマイルプロジェクトによって巻き起こったのだ。
最後に
また明日へ希望を持って生きていける。
次の挑戦をしたくなる。
ローカルディスタンスとゆう場所にはそんな可能性が溢れている。
それぞれがそれぞれの持っている強みを生かし、
お互いに補完しあって乗り越えていける環境。
できない所があっていい。
できる人がやればいい。
できない自分を否定しなくていい。
その連鎖が起こる社会になったらどれだけの人が救われるだろう。
山梨県大月市。
何もない街。
そんな街が世界の未来を変える日は、そう遠くないのかもしれない。
このスマイルプロジェクトの一連の流れを見て、私はこう感じざるを得なかったのだ。
【スマイルプロジェクト最終結果】
総支援者275名
総支援額5,024,000円